敷地は堺市南区の小高い斜面地にあり、
ゆったりと住宅が建ち並ぶ住宅地です。
今回の移転に際して、以前より多少規模が小さくなっても、
豊かさと広がりはこれまでと同様に感じたいとの希望がありました。
前面道路が坂道になっており、
建物が置かれる敷地とは1.5mの段差がありました。
このレベル差と斜面地という場所性を、
新しい住まいのヒントにしたいと考えました。
南東に視線が抜ける絶好のロケーションを利用して、
南東側をテラスにしたL型の平面形状としました。
厳しい北側斜線をかわしながら建物ボリュームを確保しつつ、
道路から1.5m上がった敷地の条件から、L型の内部は
大きな勾配屋根をもつ黒色の北側の箱と白い壁の西側の箱に分け、
その二つをレベル差で繋げて、全体をスキップフロアの構成としました。
段差を活かし、半埋め込みの音楽室や道路とゾロの駐車場、
半階上がったところにプライベートゾーンを集約し積み上げ、
最上部に眺めの良いリビングと小上がりの和室空間が
一体となった大空間を配して、小さな空間と大きな空間の対比により、
一層の広がり感を得る事が出来ました。

用途 ：

住宅

敷地面積 ：

253.1㎡

延床面積 ：

251.73㎡

竣工 ：

2013/8/13

構造 ：

地上2階、地下1階RC造、1階、2階木造

設計 ：

井上久実設計室

写真家 ：

冨田英次